不登校・うつ・パニック障害を経て大学に進学した娘の話
子育てに悩み続けた2年半でした
我が家の一人娘はこの春(2021年)から大学に通います。
(※追記:2022年2月現在、大学1年生として大学に通っています)
パニック障害の症状もありながらも大学受験を乗り越え、一般入試で希望の大学に合格しました。
今は引きこもり生活で弱った筋力を戻すべく日々ウォーキングしたり家事をしたり、時々友達や彼氏と電車に乗って遊びにいったりしながら(コロナ禍なのでそんなに頻繁には行けないんですが)
新生活にむけて準備を進めています。
娘の不登校生活に、終わりが見えてきました。
ですがこれまでの2年半は娘にとって、そして家族にとって色々なことがありました。
高校1年で学校に通えなくなり、通信制高校へ転校。
娘は、未来の希望を完全に見失っていました…
発達障害グレーゾーン、HSP(ハイリーセンシティブパーソン)の傾向、小学校~中学校での人間関係、高校受験の不本意な結果、そして思春期…
様々な要素が絡み合い、娘は気力を失い、疲れ切り、ベッドから出られなくなりました…
心療内科にも通い、うつ病と診断され、発達障害の対策と共に治療をしてきました。
私も、母としてのそれまでの自分の子育てにもきっと沢山の問題があったんだろうという気持ちでした。
怒り過ぎたとか、しつけにこだわり過ぎたとか、声の掛け方が良くなかったとか…
愛情を注いでいることに疑いはありませんでしたが、「きっと何か私に問題があったんだ」そんな気持ちでした。
ただ、思春期の子どもは大なり小なり様々な葛藤を抱え苦しむ年齢でもあります。
本人が自分で乗り越えなければならない問題もあるのも確かだと思います。
自分のそれまでの子育てを悔いたところで、その時の私にできることはもう、
「娘が安心して心身を休める日々を過ごし、自分自身と向き合える環境を整えることだ」と考え、
「見守る」しかないと、「見守る」ということの難しさを、強く強く感じた2年半でした。
片づけが苦手・嫌いな娘
不登校になった当時の娘の部屋は、かなりモノが多く、常に散らかっていました。
机の上にモノが山積みなんて日常、脱いだ服は散らかしっぱなしでしたし、無くしモノ・探しモノが常でした。
娘は小さい頃から片づけ嫌い・片づけが苦手。
私も娘自身も、ずっとそう認識していました。
私は整理収納を学び、そういう考えから変わり始めてはいたものの、家族に対する働きかけはまだまだ途中という感じでした。
本人が望まないうちに片づけを強要しても良い結果は望めません。なので私は無理に家族に片づけを求めることはしてきませんでした。
けれどその時、娘は散らかった部屋を見て、とても嫌な気持ちだということを言うようになりました。
でも、片づけはしたくない、できない、と。
「環境が変わることを娘は望んでいる」そう感じました。
「片づけ」を望んでいるかはともかく、「環境の変化」は望んでいました。
環境の変化は、人の心にも変化を与える
娘の部屋はもともとは夫の部屋だったので、夫の趣味のモノが沢山残っていました。
娘の部屋のモノが多かったのも、そもそも夫のモノでスペースが埋まっていたからです。
私はむしろこの時、この娘の問題は「チャンス」なのではと感じました。
夫は娘のために、自分の趣味のモノに向き合う必要性が出てきたし、娘も自室のスペースが広くなることで、縮んでいた心にもスペースが生まれるのでは?と…
娘が家の中でよりリラックスして落ち着いて過ごせるように、
「消耗した心のエネルギーを回復できる環境に少しでもしていけるように」
私は夫と何度も話をして、
夫もようやく重い腰を上げる覚悟を決めました。
モノを動かすと、心が動く
夫の趣味のモノを減らし、大型家具を移動させていくうちに、娘の要望も次々と出るようになりました。
娘自身も「良くなりたい」「部屋を片づけたい」という気持ちはもともと持っていました。
でも、どうしたら良いかわからなかったんです。
どうしたら良いかわからないけど、人に言われた通りにはしたくない…
それが人の自然な気持ちなんだと思います。
どうしたら良いかわからない時、目を向けると良い方向があります。
「好きなモノや好きなことを意識する」
ということです。
誰に指図されるでもなく、自分の心から生まれいずる気持ちに従う…
子どもが向こうとしているその気持ちの流れを邪魔しないよう、そっと、周囲の空気の流れを良くしていく…
私の今の役目はそれだ、そう思いました。
そしてそのためにも、まずは「娘の要望をきちんと聞く」よう心掛けました。
娘の要望
要望を聞いて一番最初に出てきたのは
『ドレッサーを置きたい!』
というものでした。
コスプレが趣味の娘にとって、メイクは命!
でも、気持ちが落ち込んでいた時は、その趣味ですらやる気力を失っていました…
好きなことですら好きでいられなくなるのは、とても悲しいことですよね…
「片づけて、ドレッサーを置けるようにしよう!」
そうやってドレッサー探しを始めると、少しずつ元気を取り戻してきた娘。
その他にも
『部屋のモノは減らしてスッキリしたい』
『背の高い家具は無くしたい』
『自分で収納も全部考えたい』
と、次々と要望が出てきました!
娘部屋の片づけビフォーアフター
娘の部屋【BEFORE】
娘もオタクなので、ここに並んでるフィギュアはみんな娘も好きなキャラですが、自分で買い集めたモノではありませんからね…
そしてテレビも、元夫部屋の名残。
娘はこの部屋で一切テレビを見ないのに!!
リビングにも同じ大きさのテレビがありますが、夫がゲーム用に買ったテレビが、置き去りに…
この「ショーケース」と「テレビ」は、夫部屋の片づけの際に移動!
そしてテレビを置いている棚も撤去。背の高い家具は減らします!
娘の部屋のクローゼットは小さくて奥行が浅い…とても使いづらいし、容量も少ない。その上ショーケースもあるから、収納の確保が課題でした。
苦肉の策で、ワードローブを縦向きに配置し、その後ろに机と棚を造りつけていました。(DIYで)壁紙も貼って。なんとか収納スペースは確保できてましたが、このイスの後ろはすぐにベッド。
動き回れるスペースはごくわずか…
このビフォーの部屋の収納は、私が整理収納アドバイザーになりたての頃に改造しました。
私なりに娘の行動を分析し、動線に沿った収納プランにしました。
しました、が…
その当時の私は娘の意見より、「我が家(夫婦)の事情」を優先していたなと思います。
(ショーケースは重くて動かせないから仕方ない、テレビは壊れてないから捨てるのはちょっと…とかね、夫の協力や承諾がないと動かせないとか、自分もその労を惜しんだりとか…)
娘の意見も聞いてはいました。
でも、私の中で先にあらかた決めてから「確認」のように聞いていたような気がします。
もちろん、家庭によってそれぞれの家族の意見があって良いと思うし、住宅事情や兄弟がいればスペースが限られます。
それでも…
もっと「最初から」子どもの意見を聞かなければ、子どもは「自分の意見が優先されている」と感じられないのでは?
『子どもが主役のお片づけ』にならないのでは…?
娘が片づけができなかったのも、
「自分の意見がきちんと反映された場所じゃなかった」からでは?
そういう思いは、整理収納アドバイザーとして学ぶ中でどんどん強くなりました。
なのでこの時の片づけでは、とにかく
「娘自身がどうしたいか」
という気持ちにとことん向き合おうと、そこを徹底しました。
娘の部屋【AFTER】
机は夫のお下がりですが、予算の都合もあったので、そこは娘と相談してこれで問題ナシということでコレに。
卓上は、目の前には極力モノを置かないようにして、左の棚の中身も娘自身で配置決め。
イケアで棚や箱を自分で選び、棚上段は気分が上がるグッズを自分でディスプレイ。
教材は去年だいぶ減ったので、大学の受験科目の勉強をしやすいように娘なりに収納。
もう私はノータッチです。
そして、娘にとって一番重要だった『ドレッサー』!
あちこちのお店で見たりネットで探したりしましたが、結局ニトリ!
「娘の要望が一番」と言いながらも、実は最初にこの要望を聞いた時私は
「え…もっとモノを置く棚とか買わなくて良いの?」と言ってしまったのですが…
「そんなのいらない、ドレッサーがあればいい!」と娘…
ほら、ね。
母の思いと娘の願いは、こんなにも違う
メイクに興味が薄い私にしてみたら、 化粧なんかメイクポーチ1つあればできるじゃない…なんて気もしますが、娘にとってはそうじゃない、メイク命。
好きなものは好き、それでいいじゃない。
メイク道具も自分でバイトして買ってるし。
ドレッサーの上に置く収納や、引き出しの中も自分なりに考えて収納。
とても楽しそうな娘の笑顔、それが答えです
こまごましたモノはこのイケアのワゴンに収納。 (IKEA RASKOG ロースコグ キッチンワゴン)
これまた娘がこのワゴンを選び、全部自分なりに収納。
「部屋をキレイに保つから!」という条件でコストコの巨大クマも購入…
全ての片づけが終わったのは、高2の夏の始めのころです
娘がみつけた「未来」
高校1年の冬、娘は自分の将来や未来のことを考えることができなくなっていました。
でも片づけが進んだ頃から、日々少しずつですが、着実に変化していった娘。
もちろん、片づけ以外にも良くなる要因はありましたが、片づけ無しではその他ことも前に進まなかった、あるいはもっと時間がかかっていたのでは、と思います。
そしてあんなに片づけできなかったはずの娘は、定期的に部屋を片づけています。自主的に。
そして、悩み苦しんでいた進路も、
とことん娘自身が自分の「どうしたい」と向き合い、大学進学を決め、大学受験を乗り越えました。
私は進路に関しては、以前から「どうぞご自由に」と娘には伝えていました。
でも、言い方が悪かったのか…
「どうぞご自由に」が、突き放されてるように感じたとか?
後日娘がそんな感じで話していました。
私は「自分の人生は自分で好きに決めなさい」と言って育ててきたのですが、多分言い方が怖かったんでしょうね~…私が思ったようには伝わってなかったみたいです…
そして人から何か言われて嫌なら、嫌と言えばいいし、嫌なことは強要はしないと言っていたのですが…
娘にとってはそんなに簡単に嫌とは言えなかったり、言っても聞き入れてもらえないと思ったのかもしれませんね…
私、そうとう怖かったんだろうなぁ…というか、私自身も余裕が無かったんだろうなぁ…
とにかく娘はまず「寄り添って欲しい」と思っていたようです。
…というか…
多分、人ってそういうものなんですよね。
でも、「見守る」「寄り添う」というのと
「甘やかす」「過干渉」というのと、
分かっていないと区別が難しいですよね。
整理収納アドバイザーになって、
「モモとナナ」を描いて得たもっとも大きな学びはこの
『寄り添い方』を知ったことです。
過去の私の愛情の注ぎ方に問題があったというよりも、
『娘の望む寄り添い方を知らなかった』んだなぁ…と、
そういう意味での自分の未熟さを、今は実感しています。
…でも最近は娘も、
「大切なことはちゃんとママに相談する」と言ってくれています。
一人で悩み過ぎないように気を付ける、と。
もちろん、実際大学に通い始めたら、きっとまた色々とあると思います。
というか…パニック症状もある娘なので、ひとまず学校に通えるかどうかが最初のハードルでもあります。
でもね…
私今、そこは大きな不安ではないんです。
もちろん心配はありますけど…
※2022年2月現在、コロナ対策でオンラインと対面の隔週授業だったので、わりと問題なく通えてました。もう春休み
でも
「やってみて、やっぱり違うと思うなら、また別の道を探せばいいんだよ」って、思うので。
横で見てるから、大丈夫だよって。
それに娘は、本当に色々な能力と可能性と個性と魅力を沢山持っている子なので!
今はそう、よどみなく思える母になれました。
大切なのは、娘の笑顔ですから。
そして笑顔になれば、大抵のことは大丈夫なんです、きっと。
※2020年1月に書いた記事を加筆修正し、2021年3月に更新しました。
※2022年2月にも加筆修正。
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